「インフラエンジニアってどんな仕事をしているの?」
「どんなスキルが求められるの?」
こんな疑問に答える記事です。
こんにちは!インフラエンジニア歴10年の朱野です。
インフラエンジニアを徹底解説していきます。
インフラエンジニアの仕事内容は多岐にわたります。
この記事ではインフラエンジニアの仕事内容や種類をわかりやすく解説しています。
- インフラエンジニアの仕事内容
- インフラエンジニアの種類
- インフラエンジニアにおすすめの資格
- インフラエンジニアの年収
- インフラエンジニアのキャリアパス
インフラエンジニアとは

インフラエンジニアとは、ネットワークなどのITインフラを作ったり、運用、管理する仕事です。
インフラエンジニアは私たちが普段何気なく使っているインターネットや企業のシステムがスムーズに動くように裏で支えています。
例えば、あなたが電子メールを送信したり、ウェブサイトを閲覧したりするとき、その情報は実際にはデータの形で色々なコンピューター機器を経由しています。
インフラエンジニアは、その情報が正確にかつ迅速に送受信できるようなシステムを構築し、そのシステムが24時間365日安定して動き続けるようにメンテナンスも行います。
インフラエンジニアは私たちの生活やビジネスが円滑に進むための基盤を支えています。
ITインフラとは
ITインフラとは、データや情報をやり取りしたり、保存したり、管理したりするための基盤のことです。
一言で言うならば、コンピューターシステムやネットワークを動かすために必要な設備やサービスの総称です。
- ハードウェア
⇨実際の物理的な機器(パソコン、サーバー、ルーター、スイッチ) - ソフトウェア
⇨システムを動かすためのプログラム(OS) - ネットワーク
⇨様々なデバイスをつなぐための接続システム(インターネット、無線(Wi-Fi)や有線(イーサネットケーブル)) - データストレージ
⇨データを保存するための装置やサービス(ハードディスク、SSD)
普段私たちが使っているインターネットやスマートフォンなどがスムーズに動くためには、ITインフラが不可欠です。
インフラエンジニアの仕事内容とは

インフラエンジニアの仕事は上流工程の要件定義・設計・構築、下流工程の運用・保守・監視に分かれています。
フェーズ | 目的 | 活動内容 | 成果物 |
---|---|---|---|
要件定義 | ビジネス要件と技術要件を明確にする | ・ステークホルダーとのミーティング ・要件収集 ・要件の分析・整理 | ・要件定義書 |
基本設計 | システムの全体構造と機能を設計する | ・システムのアーキテクチャ設計 ・ネットワーク、サーバー構成の決定 ・セキュリティ方針の策定 | ・基本設計書 |
詳細設計 | 基本設計をもとに、詳細な技術仕様を決定する | ・ハードウェアのスペック詳細 ・ソフトウェアの設定項目 ・ネットワーク設計の具体化 | ・詳細設計書 |
構築 | 設計書に基づいて、システムを物理的または論理的に構築する | ・サーバーのセットアップ ・ネットワーク機器の配置と設定 ・ソフトウェアのインストールと構成 | ・構築完了報告書 ・運用手順書 |
運用 | システムを安定して稼働させる | ・日々のシステム運用 ・ユーザーサポート ・バッチ処理の実行など | ・運用報告書 ・運用ログ |
保守 | システムを最新の状態に保つ | ・ソフトウェアのアップデート ・ハードウェアの交換 ・障害発生時の復旧作業 | ・保守記録 ・更新履歴 |
監視 | システムの状態を常にチェックし、問題を早期発見する | ・システムログの監視 ・リソース使用率のチェック ・アラートシステムの管理 | ・監視レポート ・障害報告書 |
基本的には下流工程からスタートして経験や実績を積んでいき、上流工程に進んでいくのが一般的です。
インフラエンジニアの仕事内容を詳しくみていきましょう。
インフラエンジニアの仕事①:要件定義
要件定義はクライアントや社内から要望をヒアリングして、求められている機能を把握した上で仕様を決定します。
要件定義の出来栄えがプロジェクトの成否を決めるとも言われています。
要件定義には幅広い知識が必要となるのでインフラ経験が豊富なエンジニアしか担当できません。
- インフラに対しての深い知識と理解
- コミュニケーションスキル
- 情報を集める能力
- 幅広い技術的なIT知識
- 問題解決能力
- 論理的思考能力
- プロジェクトの管理能力
要件定義には幅広いITスキルと高い対人能力も求められます。
インフラエンジニアの仕事②:設計
設計では、基本設計と詳細設計に分けられます。
要件定義では「何を作るか」が焦点でしたが、設計は「どのように作るか」に焦点を当てます。
建物を建てる前に設計図を描くように、システムを構築するための計画を立てます。
フェーズ | 基本設計 | 詳細設計 |
---|---|---|
目的 | システムの全体像を把握し、主要な構成要素や機能を定義する。 | 基本設計で定めた内容を具体化し、細かい技術的仕様を決定する。 |
内容 | ・システムの目的と範囲 ・必要な機能と性能 ・システム構成(サーバー、ネットワークなどの大枠) ・セキュリティやバックアップの基本方針 | ・機器のモデルやスペックの選定 ・サーバーの配置と役割 ・ネットワーク設計(スイッチ、ルーターの設定) ・セキュリティ詳細設定(ファイアウォールルールなど) ・ソフトウェアのバージョンや設定 |
重視するポイント | ・機能と要件の正確な理解 ・拡張性や将来性の考慮 ・コストとリソースの見積もり | ・技術的な詳細の精度 ・実装における効率性と正確性 ・テスト計画と運用計画 |
要件定義は、最終製品が何を成し遂げなければならないかを決定し、設計フェーズではそれを実現するための「設計図」を作成します。
インフラエンジニアの仕事③:構築
構築では、設計書を基に構築して、システムが実際に繋がる状態にしていきます。
構築の主な内容をまとめました。
フェーズ | 説明 |
---|---|
購入・調達 | ・ハードウェアの選定/調達 ・ソフトウェアの選定/調達 |
インストール・機器設置 | ・調達した機材の物理的設置 ・ソフトウェアのインストール |
コンフィギュレーション | ・ハードウェアを所定の仕様に従って設定 ・ソフトウェアを所定の仕様に従って設定 ・ネットワークを所定の仕様に従って設定 |
テスト | ・構築したシステムが要件を満たしているか機能テスト ・不具合があれば修正する |
ドキュメンテーション | ・システムの構築に関する文書を作成 ・設計書の更新 ・ユーザーマニュアルの作成 |
インフラエンジニアの仕事④:保守・運用・監視
保守・運用・監視では、インフラシステムが安定して稼働するように管理や監視を行います。
保守・運用・監視の詳しい内容をまとめました。
フェーズ | 概要 | 具体的な活動 |
---|---|---|
保守 | システムを安定して機能させるために定期的に行うメンテナンス | ・不具合の修正 ・システムのアップデート ・パフォーマンスの改善 |
運用 | 日々の業務を通じてシステムを稼働させる | ・ユーザーサポート ・データバックアップ ・リソース管理 |
監視 | システムの状態を常にチェックし、問題を早期に発見する | ・リアルタイムでのシステム監視 ・異常検知とアラート発信 |
ITシステムが常に正しく動いて、企業の事業が止まらないようにするために重要な仕事となります。
若手の方はまずこのフェーズから始めることが多いです。
インフラエンジニアの種類とは

インフラエンジニアは担当する技術領域によって大きく以下3つの種類に分けることができます。
- サーバーエンジニア
- ネットワークエンジニア
- セキュリティエンジニア
詳しくみていきましょう。
インフラエンジニアの種類①:サーバーエンジニア
サーバーエンジニアとは物理サーバーやクラウドサーバーの管理をするエンジニアです。
サーバーエンジニアの仕事は、サーバが常に問題なく動くように設定したり、新しいサービスを立ち上げるためにサーバを組み立てたり、時にはトラブルが起きたときにはその原因を探って修正したりすることです。
分野 | 主な仕事内容 |
---|---|
サーバーの構築 | ・新しいサーバのセットアップ ・ソフトウェアのインストール ・ハードウェアの選定と設置 |
サーバーの運用管理 | ・サーバの動作状況の監視 ・パフォーマンスの最適化 ・障害予防対策 |
保守・トラブルシューティング | ・障害発生時の原因究明と復旧作業 ・メンテナンスと更新作業 |
セキュリティ管理 | ・セキュリティ対策の計画と実施 ・セキュリティパッチの適用 |
バックアップ | ・データのバックアップ実施 ・ディザスタリカバリ計画の立案 |
ネットワークとの連携 | ・サーバとネットワークの管理 |
サーバーには今閲覧しているWebサイトを表示するためのWebサーバーやメールを送受信するためのメールサーバー、ファイル転送を行うためのFTPサーバーなど様々な種類のサーバーが存在します。
- 各種OSに関する知識(Windows、Linux)
- 各種ミドルウェアに関する知見(Apache、Oracleなど)
- サーバ仮想化のスキル(VMware、Hiper-Vなど)
- クラウドに関する知識(AWS、Azure)
サーバーにはオンプレとクラウドがあります。
インフラエンジニアの種類②:ネットワークエンジニア
ネットワークエンジニアとは、ネットワーク関連を主な仕事とするエンジニアのことです。
コンピューターやサーバーなどの機器同士が通信するために必要なネットワークの設計・構築し、運用・保守を行います。
分野 | 主な仕事内容 |
---|---|
ネットワークの設計と実装 | ・新旧ネットワークの設計・拡張 ・最適なハードウェア/ソフトウェア選定 ・適切なネットワークトポロジー作成 |
ネットワークの運用と保守 | ・ネットワーク機器の設定/アップグレード ・パフォーマンス監視 ・障害発生時の迅速対応 |
セキュリティの確保 | ・ネットワークセキュリティポリシーの定義 ・セキュリティ対策の実施 ・ウイルス/不正アクセス防御 |
トラブルシューティング | ・問題特定と解決 ・ユーザーサポートと応対 |
ネットワークの監視と分析 | ・パフォーマンスの定期チェック ・トラフィック分析 ・ネットワークの最適化 |
ドキュメントの作成と管理 | ・構成/手順文書の作成と更新 ・ネットワークマップ/構成図の維持 ・ドキュメントの管理 |
プロジェクト管理 | ・プロジェクトの計画と実行 ・時間と予算の管理 ・目標達成の担当 |
- ネットワークに関する基本知識(OSI参照モデル、TCP/IP)
- ネットワーク機器に対する知見(Cisco、Juniperなど)
- トラブルシューティング能力
インフラエンジニアの種類③:セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアは、セキュリティ関連を主な仕事とするエンジニアのことです。
組織のネットワークやシステムを外部の不正アクセスやサイバー攻撃から保護します。
分野 | 主な仕事内容 |
---|---|
セキュリティ評価とリスク分析 | ・組織のセキュリティ状態の評価 ・リスクの特定 |
セキュリティポリシーと手順の策定 | ・セキュリティ規程の開発 ・社内での手順の設定 |
セキュリティシステムの設計と実装 | ・防御機制を含むセキュリティシステムの設計と導入 |
セキュリティ監視とインシデント対応 | ・セキュリティ違反の監視 ・インシデントへの迅速な対応 |
教育と意識向上 | ・従業員のセキュリティ意識の向上 ・セキュリティ研修の実施 |
トラブルシューティングとサポート | ・セキュリティ問題への対応 ・技術的な支援 |
- セキリュティ機器の知見(Paloalto、McAfeeなど)
- セキュリティに関する全般的な知識(ファイアウォール、証明書など)
- リスクを未然に察知できる力
- 最新技術をキャッチアップできる力
インフラエンジニアにおすすめの資格とは

インフラエンジニアは、自分が担当する領域の資格取得をおすすめします。
インフラエンジニアの領域 | おすすめの資格 |
IT未経験者向け | ITパスポート |
ネットワークエンジニア向け | シスコ技術者認定試験(CCNA) |
サーバーエンジニア向け | Linux技術者認定試験(LPIC) AWS認定試験(クラウドプラクティショナー) |
セキュリティエンジニア向け | 情報セキュリティマネジメント試験 |
IT全般の基本的な知識を取得するために「基本情報」「応用情報」もおすすめです。
インフラエンジニアの年収とは

インフラエンジニアの平均年収は、経験年数や業界、地域などによって異なりますが、
一般的な平均年収は約550万円程度とされています。

全体の平均年収が403万円程度なのでインフラエンジニアの平均年収は比較的高い方だと言えます。

なお、業界や地域によっては、平均年収が上下する傾向があります。
東京都や大阪府などの都市部で働く場合は、一般的に平均年収が高くなる傾向があります。
自分のインフラエンジニアのスキルや経験年数によっては、高い年収を得ることが可能な夢のある業界だと感じております。
インフラエンジニアの将来性とは

2030年には約79万人のIT人材が不足するとされており、インフラエンジニアは、今後ますます需要が高まっていくと考えられます。

インフラエンジニアの将来性は明るいと考えられます。
インフラエンジニアのキャリアパスとは

インフラエンジニアのキャリアパスをまとめました。
- マネージャー
- エンジニアスペシャリスト
- ITコンサル
詳しく見ていきましょう。
インフラエンジニアのキャリアパス①:マネージャー
マネージャーは、ITプロジェクトやチームの管理責任者です。
技術的なスキルだけでなく、チームを率いるリーダーシップスキル、プロジェクト管理スキル、予算管理などのスキルが求められます。
- チームリーダーシップと従業員の管理
- プロジェクトの計画、スケジュール管理、実行
- 予算策定と資金の管理
- 生産性と効率を向上させるためのプロセス改善
- 目標達成のための戦略立案と実施
- ステークホルダーとのコミュニケーションと調整
インフラエンジニアのキャリアパス②:エンジニアスペシャリスト
エンジニアスペシャリストは、特定のインフラ技術やツールに関する専門知識を有するエキスパートです。
技術的な深みを追求し、業界内で高い専門性を持つプロフェッショナルとして認知されるようになります。
- 専門分野における深い技術知識の保有と適用
- 高度な技術問題の診断と解決
- 新技術の評価、テスト、導入
- 技術的なベストプラクティスの策定と共有
- 内部チームへの技術トレーニングの提供
インフラエンジニアのキャリアパス③:ITコンサルタント
ITコンサルタントは、クライアントのビジネスニーズに対して、技術的なソリューションを提案し、導入を支援する役割を果たします。
多様な業界やプロジェクトに関わる機会が増え、幅広い視野と経験を積むことができます。
- クライアントのビジネス要件とIT戦略の整合性確認
- ソリューション設計と提案の作成
- リスク評価
- プロジェクトの実行とマネジメントサポート
- クライアントに対する技術的アドバイスと指導
インフラエンジニアを目指すためにやるべきこと

インフラエンジニアを目指すためにやるべきことをまとめました。
- 技術書を読んで学ぶ
- オンライン学習サイトで学ぶ
- 実務経験を積みながら学ぶ
詳しくみていきましょう。
技術書を読んで学ぶ
インフラエンジニアを目指す場合、技術書を読むことをおすすめします。
技術書を読むことで、体系的に学習を進めることが可能なため、技術に対する知識を深めることができます。
各領域ごとでおすすめの書籍を紹介しますので気になったものがあれば読んでみてください。
学習範囲 | 書籍名 | 値段 | 概要 |
インフラ全般 | 図解即戦力 インフラエンジニアの知識と実務がこれ1冊でしっかりわかる教科書 | kindle:2,178円 単行本:2,178円 | ITの基本が学べて 新人インフラエンジニアの方におすすめ |
ネットワーク | マスタリングTCP/IP 入門編(第6版) | kindle:2,372円 単行本:2,420円 | ネットワークについての理解を深める最初の一歩 |
サーバー | イラスト図解式 この一冊で全部わかるサーバーの基本 第2版 | kindle:1,833円 単行本:1,870円 | 基本的なサーバの考えや仕組みを理解できる |
クラウド | 図解即戦力 Amazon Web Servicesのしくみと技術がこれ1冊でしっかりわかる教科書 | kindle:2,134円 単行本:2,178円 | AWSの仕組みを一通り学ぶことのできる入門書 |
セキュリティ | 図解まるわかり セキュリティのしくみ | kindle:1,811円 単行本:1,848円 | セキュリティの知識に関して網羅的に学ぶことができる |
技術書を読むことは、インフラエンジニアとしての知識を得るための効果的な手段であり、体系的な学習が可能です。
オンライン学習サイトで学ぶ
オンライン学習サイトの活用もおすすめです。
オンライン学習サイトは携帯からもアクセス可能で、柔軟に学習時間を確保できたり、最新の技術トレンドに対応したコースを提供し、業界の進化に合わせた学習が可能です。
おすすめのオンライン学習サイトをまとめました。
サイト名 | 費用 | 概要 |
Udemy | コースによる ※セール時に購入すること | 210,000以上の講座があり、動画コンテンツを用いたオンライン学習が基本のサイト |
Ping-t | 無料 ※プレミアムプランあり | 登録ユーザ数30万人超のCCNA、AWS、LinuC、LPIC、ITパスポートなどのWeb問題集サイト |
オンライン学習サイトは、容易なアクセス、最新のトレンドへの追随、実践的な学習体験など、多くの利点があります。
実務経験を積みながら学ぶ
独学だと限界があるため、IT企業に入社して実務経験を通して学ぶのが1番おすすめです。
インフラエンジニアになった人の大半が実務経験がない状態で採用されています。

まとめ:インフラエンジニアとはITインフラを支えるエンジニアである
インフラエンジニアについて解説してきました。
最後にこの記事の内容をまとめます。
- インフラエンジニアの仕事には上流工程と下流工程でわかれる
- 上流工程は要件定義・設計・構築
- 下流工程は保守・運用・監視
- インフラエンジニアの種類は大きくネットワーク、サーバ、セキュリティの3つにわかれる
- インフラエンジニアにおすすめの資格は担当する領域によって異なる
- インフラエンジニアの年収は平均より高い
- インフラエンジニアの将来性は高い
- インフラエンジニアのキャリアパスには、大きくマネージャー、スペシャリスト、ITコンサルの3つにわかれる
自分の技術を活かして世の中の役に立ちたい人や専門性を高めたい人は、インフラエンジニアとしてキャリアを積むことを考えてみてはいかがでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございました!